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STAGE Hello Again #03 安藤 百花

ステージの上でスポットライトを浴びては眩い輝きを放つ「あの人」。わたし (ぼく) と「あの人」では何が違っているのだろう。正しさもクールも、定義づけで世界の答えは手のひらを返すように変わってしまうけど、その中で自分にとって大事なものを取捨選択して器用に生きてるんだよね、「あの人」も、わたしも。違ったのは運とかタイミングとか割とそんなものだったり。このステージに立っている「あの人」だって、それはもしかしたらキミのことかもしれないってことだよ。だから、ステージの名前は「Hello Again」なんだって。小さなスナックのステージなら、誰だって「あの人」になれるし、それがいつしか大きなステージの「あの人たち」になっていったら、世界は少しずつ変わっていくのかもしれない。

#03 安藤 百花

ー 年齢は?

M  22歳です。

ー 何をしている人ですか?

M  今はpeau,(ポウ)のデザイナーとモデル、セレクトショップでアルバイトもしています… なんというか肩書きって難しいですよね。今は有難いことにやりたいことに全部やらせてもらっています。何かひとつに決めるのは好ましくはないんですけど、最終的には「表現者」という形で在りたいです。

ー 生まれは?

M  東京です。

ー 最近夢中になっていることは?

M  最近はピアノを弾く子と一緒に、私が歌い手で音楽も少しやっています。彼女の本職は絵描きなんですけど、音の感性もすごく豊かで。一緒に曲作りもしています。あとはお風呂に引きこもったりとか... バスジャックって呼んでるんですけど (笑) 人間きついなって時あるじゃないですか。そんな時は空いてるバスタブの中にすっぽりハマって本を読んだり映画観たり書き物したり、ちょっと閉鎖的な空間で自分と向き合うことです。

ー 好きなごはんは?

M  カレー… 単刀直入に言えば人参とトマトが好きなんです。どっちも入っているカレーが好き。三食カレーでも良い。いろんなお店にも行きますし、気づいたらカレー食べてる (笑)

ー 好きな季節は?

M  冬が好き。自分が生まれた季節だから必然っていうのもあると思うけど、なんとなく冬の方が贅沢な気がするんです。冬の方が空気も植物も好きだったりします。

ー 今まで自分に大きく影響を与えてきたものは何だと思いますか?

M  出逢ってきた人全員ですね。身の回りにいる人や出逢った人たちから少なからず影響を受けているし、それが濾過されて自分が作られていると思うので。

ー 人生最大のできごとは?

M  一昨年、実家を出たことが人生最大の出来事でした。家族二人の生活の中で、母の言うことなすことが絶対、それが当たり前と思って生きたんですけど、徐々に外の世界や自分の当たり前とは違うということにも気付き始めて...ずっとその矛盾に苦しんでいました。自分の心の中で、もうだめだってなった時に実家を出ました。結果として自分のことを幸せにする為の大きな決断でしたし、私らしく生きていく為に自立しようと思いました。常に強く柔軟でありたいですね。あと、その時期に通っていた芝居のワークショップの先生にその話をした時に「君はその状況でどう楽に生きていくかを考えている。でも貧しくても心が豊かであることが一番だから、とにかくその状況に甘えずはやく逃げなさい。」と仰って下さったんです。「もし君が表現者になりたいと思っているなら、その経験は後々何かを表現するにはもってこいの素材になるし、それを恥じたりする必要は全然ないから、むしろ認めて受け入れて生きていきなさい。」とも仰って下さりました。それで私も心を決めようと思ったんです。その方からの言葉を受けたのは大きかったです。

ー 生まれ変わるなら?

M  やっぱり人間。面倒臭いけどやりがいあるから。

ー 小さい頃の夢は?

M  ずっとダンスをやっていたので、ブロードウェイのダンサーになりたかったんです。ニューヨークに母の仕事の都合で行った時にも、少しの間ですが現地のダンススクールにも通っていました。何故か中学生の時に剣道部に入ったのをきっかけに辞めるっていう... (笑) でも、またいつか始めたいなって思ってます。コンテンポラリーダンスとかもやってみたくて、今は音楽も少しやっているので近いものが合わされば良いなと思います。

ー 5年後何してると思いますか?

M  27歳ですよね... 人生計画的にはその頃には映画に出演していたい。何でも形は問わないんですけど、スクリーンの向こう側にいたら良いなって思います。すごい楽しみでもあるし、やらないといけないっていうのもありますね (笑) あとは、一度日本を離れてみたいとも思っています。私はここにいるべきじゃないっていう思いがすごく強いので、何か変わると良いなという淡い期待とともにそう思っています。その為に今は実力をつける期間ですね。あとは家族ができていたら良いなって思います。

ー 幸せを感じる瞬間は?

M  最近ずっと幸せなんですよね (笑) 半年くらい前に新しいパートナーができたことがすごく大きいと思います。今までの私の生活って、家でご飯を食べられなかったり、すぐに外出できる服で寝たりとか、ちょっと普通じゃなかったんですよね。家族との関係性や出来事が影響しているんですけど、極力家に居たくなかった。今のパートナーはできるだけ一緒にご飯食べようとか、日曜日は一緒に掃除してから出掛けようとか、気に掛けてくれる。私が少しずつ当たり前の生活をする為のきっかけをたくさん作ってくれるし時間を共有してくれる。私のわがままを聞いてもらってるだけなんですけど。ご飯を一緒に食べた時とか、ゆっくりお風呂に入れるとか、そういう当たり前のことを自然にできた瞬間が嬉しい。相手は一歳年下なんですが、誕生日が一緒なので一切歳が追いつかないっていう (笑) タイプも真逆だけど、一緒にいると私も前向きで居られるし、いつも応援してくれるので頑張らなきゃって思えます。

ー 会ってみたい人は? (故人も可)

M  黒柳徹子さん、すごく魅力的な人だから会ってみたいなと思います。ヨーガン・レールにも会ってみたいです。彼がどんな風に自然を愛したのか、どこでどんなものを見てどう感じていたのかっていうのを知りたい。

ー 自分だけのルールは?

M  「嫌い」って言わないこと。と言いつつも日常の中で言ってしまうことはあるんですけど、言葉にした瞬間にそうであることになってしまう。できるだけ「苦手」って言うようにしてます。嫌いなものでも自分の身になってると思うので、それを拒否しないようにしたいなって思ってます。

ー 「ONLY」とは?

M  ONLYって難しい。資本主義の世の中でオンリーワンって難しいことなのかなと思う面もあります。それに必ずしも誰かの影響を受けて真似をしているし、オリジナルはないと思っています。それらをどういう風にして自分のものにしていくかという過程が重要なのではないでしょうか。peau,とも繋がるのですが、最近はSNSがすごく発達して見た目だけじゃなくて、その人の個性や言葉、内面的なものさえ消費されているように感じます。「あの人」は常に進化しているはずなのに「あの人はもう終わった」って皆が言っていたりとか。そうして興味の対象から逸れていくのは寂しいことだと感じます。peau,はその点、ベースは同じものだけど、使ってる人の癖で個性が出て、その人もバッグも育っていくものになったら良いなと思って作っています。

ー ブランドと自分自身に共通する「らしさ」を言葉にした時にどんなことがリンクしますか?

M  言葉にするのは難しいと思います。結局人と比べてしまうし、何者にもなれない。でもやっぱり時間をかけて「自分」を確立していきたいというものの表れでできていると思います。

ー 百花さんは、時にはモデルとして表情と身体で、ライターとして文章で、歌い手として歌にのせて、また時にはデザイナーとして鞄で、など自分を魅せるたくさんの表現方法を持っているかと思います。それぞれの表現方法の違いや面白みはどんな部分にあるのでしょうか?

M  私自身は身体全部を使って何かしたいっていうのが核としてあって、それを表現する為にはひとつじゃ手段が足りないんです。全てを合わせると100%になる。モデルや芝居の面白い部分は、普段の自分と違う自分になれるのと、且つ自分の要素をどこに出すのかっていうところが難しくも楽しいところな気がしています。文章は言葉にした瞬間に、心の中で思っている言葉や気持ちと異なるものになってしまうし、人に伝わったら更に変化してしまうので矛盾が生まれるんですけど、それを他人と共有する為にどれだけ鮮度高く自分の言葉を文章にできるかっていう部分。すごく難しいんですけど、自分自身のことも見えてくるのが文字の面白いところです。歌はどこまで自分の気持ちを空気にのせられるかというところ。自分が感じたことを一番早く引き出せる手段な気がしています。ものづくりは最終的に篩(ふるい)にかけて落とされてきたものが集まったもので、少し時間をかけて出てくるものだと思ってます。

ー これからやりたいことはなんですか?

M  いっぱいあります (笑) これだけ自分がいろんなことに興味があるので、いろんな方面からのアプローチができるだろうなとは思っています。peau,の展示会でも香りや音も作ったりとか、空間全体で魅せることを意識してやっています。なので、これからもっと磨きが掛かってくるはずだし、そうやって自分の年齢が重ねていくに連れてより濃いものになっていけば良いなという気持ちです。

ー 自身の「ONLY」を形作っているものはどんなものだと思いますか?

M  出会ったもの、人、空気、出来事、全部だと思っています。幸せなこともいっぱいあるけど、つらいことほど望んで体験することはできないのでそれがこれから自分の生きる活力だし、確実に強くさせるものだと思っているので、頑張って向き合いたい所存です (笑)

ー 最後に明日の予定を。

M  土曜日は、おばあちゃんと会うのが恒例になってきているので、朝ご飯を一緒に食べる予定です。午後は髪の毛を整えたりして、その後は映画を観に行く、美味しいご飯を食べる、寝る、ですね (笑)

Model : Momoka Ando @momoka_031 @peau_000

Photography : 2nd photo Shinkai Baba、 peau,photo Hiromu Kameyama

Interview&Text : Minami Akagi

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