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第3回 arch紹介制倶楽部 花屋 cochon 和田 格さん×小畑 麻美さん 前編


ー 本日は、花屋「cochon」のフローリスト、和田 格さんと小畑 麻美さんにお越し頂きました!表参道と渋谷の中間地点、青山学院大学裏の路地にある白いビルの最上階、cochonのアトリエを本日は間借りさせて頂いております!秘密基地のような感覚とアーティスティックな雰囲気を併せ持つ小さなアトリエには、時にはたくさんの色彩豊かなお花が、時にはエネルギッシュなグリーンの観葉植物が大小たくさん並べられ、仕入れる植物によってアトリエ内の雰囲気も生き物さながらに変わっていくのだそう。そんな「変化」がキーポイントでもあるcochonの魅力をこれでもかと語ってもらい皆さんにお伝え出来たらと思います。宜しくお願いします!

WADA(以下W)&OBATA(以下O)  宜しくお願いします!

encounter

ー まず最初に和田さんと大槻さん (前回ご来店) との出会いを簡単に教えて頂けますか?

W  ローカル (THE LOCAL COFFEE) がオープンした時から、僕らも一緒くらいのタイミングでお店を始めていて、最初はお客さんとしてでしたね。そこから大槻さんに誘ってもらって一緒に企画をしたこともありますし、今もコーヒーをよく飲みに行きます。

ー cochonを始めたきっかけやエピソードを教えて頂けますか?元々、和田さんは写真や映像を学ばれていたとお聞きしましたが、どのような過程を経て、今のcochonをオープンするまでに至ったのでしょうか?

W  cochonをやる前に何店舗か花屋で働いていました。僕は映画が好きだったんですけど、映画で食っていくって現実味ないなって、だから花かなって。花って癒してくれるし、いろんな色があって触ってるだけでも良いし、これが仕事になったら良いなって。

ー ということは、お仕事はお花屋さんをずっとされてきているんですね。

W  そうですね。

ー 元々趣味であったり花に触れる機会があったり、花は日常にあったのでしょうか?

W  専門学校の時に花屋が作ったコーヒー屋でアルバイトしてたんですけど、段々と花屋の方にちょっとずつ出るようになって...ですね。そこがきっかけかもしれないですね。

Inspiration

W  映画に出会ったなっていう瞬間はジャン=リュック・ゴダール。映画や絵画からの色合わせの空気感は自分の根っこにあると思う。

O  私はシャネルが面白いと思っています。そういった視点を加えていきたい。

ー cochonのお花を見たときに花に宿っている生命力をすごく感じますし、いわゆる町のお花屋さんとは異なる、cochonの色を感じます。どういったものごとからインスピレーションを得ているのでしょうか?

W  インスピレーションは… 僕、ジャン=リュック・ゴダールという映画監督が好きで、それまでは文学と絵画が好きでした。でも映画に出会ったなっていう瞬間がジャン=リュック・ゴダールだったんですよ。親父が文学やってて、ゴダールとか観てみたら?って言われて初めて観たのが「女と男のいる舗道」でした。その時に動けなくなって、あぁ映画ってアートにもなるんだって思った。ゴダールから掘っていったんですよ。だから映画とか絵画からの色合わせの空気感は自分の根っこにあると思ってます。あとは花を一個ずつ買うも作るも即興だし、ゴダールも即興で映画を撮っていることが多くて、脚本が無かったりするんですよ。撮ったものに対して音外したりもするし、他の声や音を入れてみたりもしている。そういう即興性とか後から編集するとかも花に似てるなと思うし、買ってきた生命力溢れる物質を1日目は即興で作って、2日目は違う形で作ってみたりする。それも1日寝かせたことで蕾が膨らんだり見え方が変わったりとか、そういう即興性とかも花って面白いなって思ってるのがイメージ。

ー 小畑さんはどうでしょうか?

O  私は思いきりファッション視点で見ています。私はシャネルが面白いと思っています。cochonに参加するまでは、ファッション関係の仕事をしていたのですが、色々なシャネルの本を読んで研究をしていた時期がありました。いざお花と関わることになり、ふと頭をよぎったエピソードがあって、ツイードのデザイナーのマリア・ケントが、シャネルに売り込みに行った時のお話なんですが、ココ・シャネルは近くに生けてあったお花を地面にばら撒いて「これをツイードで表現しなさい。」と言ったそうなんです。そして、そのお花の色彩を彼女が表現して採用されたそうです。物凄く腑に落ちました。お花もファッションもアートもセンスが出るものですし、お互いにインスピレーション源になり得るものなので、そういう意味では同じことだと思っています。 自分がこれまで実際に見たり触ったりしてきた情報を最大限活かすこと、アップデートしていくことを心掛けています。例えば、ブランドの展示会装花を担当させて頂く際も、お洋服の素材の質感、色、空気感などを見て、同じピンクでもこれはこの質感のピンクだよね、とか...。

W マーブルっぽくて、黒が入ったようなね。

O  なので、ゴダールに加えてそういった視点を加えていきたいです。和田の根っこはゴダールなので、私も日々、本や映画を観たり、会話の中で意見を交わして二人の感覚を擦り合わせています。シャネルならこうだよ、ゴダールならこうだよ、じゃあピカソなら?とか哲学の話になったりとか (笑) Instagramなどで載せている写真は、その感覚から降りてきているものが多いです。

The power of flowers & about changing

ー 和田さんと小畑さんの視点から見て「花のチカラ」ってどのようなものだと思われますか?

W  大きい植物... 例えばアガベだったら死ぬ前にしか花は咲かないんですよ。花の咲き方も、ビューンって伸びて上でバンって咲くんですよ。それで死ぬの。地面に咲く花だから情熱を奮って咲いて枯れてまた来年咲くっていう...僕たち人間は花咲かせないから普通にただ生きているだけじゃないですか。だから物凄くエネルギッシュだと思っているし、それでブーケ組むって本当に元気になる。

O  お花や植物はそれひとつで完成する。既に物凄く可愛い。すごくデザイン性があるなって思います。

W  自然が作ったものだから、デザインできない形というか。

O  ブーケは最大限の可能性があって奥深い。はたまたお花って一本でも美しいところが面白いです。

W  あと、絵画とか見ていると花を描いているものが多い。

O  人物の後ろに花瓶が置いてあったりね。

W  例えば、ピカソが現代にいて、これだけ花の種類が増えた中でブーケとか花触ることに慣れていたとしたら、画家じゃなくて花屋ってパターンもあり得たよなって思うんです。あとは人が生きる上で色は大事なんですよ。目が色の感覚を掴んで、朝起きると光があって、常に色を見ていて、だから人間て絶対色彩が豊かじゃないですか。だから絶対にセンス良くなる。毎日色を見ているから...何の話してたんだ...

O  お花のパワー (笑)

W  そうそう。色についてもたくさん考えるし、絵画とかも花目線で見るようになったし、目線変わると本当に面白いし色にも敏感になったりとか。というのも、変化の話をしたかったんですよ。

ー 変化ですか。

W  そう。ゴダールって60年代はドラマ、70年代は政治映画、80年代でまたドラマ撮るんですよ。その時のドラマの撮り方がソニマージュっていう映像方法。ゴダールって繋げることに意識が強いんですよ。フィクションだからこそ切ることに意識して、映像で繫げるパターンと音で繫げるパターンがあったりする。そういう変化が好きだし、僕は変化していく人が好きなんです。ずっと同じものを作るって大切で強いこと。でも、変化していける人もすごいと思うんですよ。変化は人間にとって大事なテーマだと思っていて、僕も常に変化していきたいなって思ってます。花選びも変化していくことによって、また違う表現が生まれたり、新しい可能性が生まれたりするので。

W  あとは一回お花を作ってみたら、みんなハマると思うんですよ。なんだろうな... よくみんな花屋やらないなって思う (笑)

ー cochonをオープンしてから今に至るまで、ご自身の中でもそういう「変化」というのはやはり感じられますか?

W  ずっとです。もう初めて花触った時から全然違う。一手目、一本花抜いた瞬間から違う。触り方、組み方、全部変わってる。ブーケを作る上で、どのくらいの長さにするかで全然バランスも変わってくる。それも最初の頃は意識してなかったけど、今はすごく意識します。常に変化がありますね。

O  日々お店のディスプレイが変わったりとか、今は丁度植栽のご注文の関係で鉢がたくさんがあるんですけど、生花メインのご注文を頂いている時は、生花をたくさん仕入れていたり、全体的にドライだったりと様々です。そういうのも含めて変化だと思っています。

ー ちなみに好きなお花って何ですか?

W  やっぱり選べないですね。超種類あるし... 僕はフリチラリアとかかな。でも何でも好きです。本当に。あとは日本の四季が好き。花で月日がわかったりとか、桜とか咲いて、まだ寒くてももう花見の時期かとかわかりますし。

O  なんだろう。最近だとアネモネ、ライラック、クレマチス、チューリップです。ライラックやクレマチスは、単体でも可愛いんですけど、ブーケやアレンジに混ぜた時に一気にお洒落になります。手触りはチューリップが好き。今はそういう感覚ですかね。 あと、たまにcochonが仕入れる薔薇が好きです。くすんだ白やグレイッシュでマットなピンクの薔薇、イブピアッチェという超絶美しい薔薇。大好きです。

というわけで、前編はここまで!!後編でも引き続き、和田さん、小畑さん推しのお花の嗜み方や興味の幅について、毎回恒例のお互いへの質問もして頂きました!さらにcochonワールド全開でお送り致します!皆さま引き続き、おくつろぎ下さいませ!(なんだか今回はワインが飲みたくなりますね!)

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