第1回 arch紹介制倶楽部 イラストレーター IIDA AZUSAさん×LAURUN/MANHOODクリエイティブディレクター AIさん(前編)

ー arch紹介制倶楽部、記念すべき第1回目のお客様は、arch magazin1st issueの表紙を描いて頂いたイラストレーターのIIDA AZUSAさん、そしてAZUSAさんのご紹介でヘアサロンLAURUN/MANHOODのクリエイティブディレクターを務めるAIさんにお越し頂いております。本企画は、ご来店頂いたお客さまのご紹介にて、次回ご来店のお客さまが繋がっていくという(archだけに...)なんともお客さまに頼りきりの企画となっております。何卒、宜しくお願い申し上げます!AZUSAさん、AIさん、こんばんは〜!
AZUSA(以下AZ)、AI(以下AI)こんばんは〜!
ー AZUSAさんとAIさん、お2人の出会いから今までの関わりを簡単に教えて頂けますか?
AI はい。確か6年位前に原宿の道を歩いてカットやカラーモデルのハントをしていた時、後ろ姿から気になるコがいて...原宿のキディランドの近くでしたね。なんか、このコ惹かれるな〜と思って声をかけました。
ー ちなみに覚えてます?
AZ はい!その頃私は学生で、近くのタイ料理屋さんでバイトした帰りでした。もうタイ料理臭満載で(切)
AI はははは(笑)
AZ 声かけてもらって距離が近いじゃないですか!嗅がれちゃまずいと思いつつ、遠慮しがちに出会った記憶があります。何かAIさんが話す度に「臭くないですか⁉︎」って聞いた覚えがあります...(笑)
AI すっごい言われたそれ。全然だけどみたいなね(笑)
ー そうすると出会いからもう6年経っているということですね〜!
AI そうですね〜、私がまだアシスタントの時ですね。
ー そこからの接点は常に何かあったんですか?
AI サロンに来てもらって、カットやカラーのモデルをしてもらっていました。
AZ そう!練習台にしてもらって、前髪切ったり、ばっさりショートにしたり色々しましたよね!それこそ今まで一番短いショートにした時も、AIさんに切ってもらった時です。
AI すっごく似合ってた。ロングから一気に切ったよね。
AZ そうそうそう!本当にありがとうごさいます。
ー なんだかその思い切りの良さもAZUSAさんらしいですね。
AI そうだね、AZUSAちゃんは彼女自身に輪郭(=芯)がある人。その輪郭がある人ってショートが似合うんだよね。
AZUSAさん嬉しさのあまり鼻息。
AZ ここは鼻息でいきましょう(笑)
一同 (笑)
ー その後はどんな関わり方だったんですか?
AI しばらくカットさせてもらったりお客さんとしてサロンに来てもらっていたかな。

「A MOMENT」開催時のMANHOODの半地下にあるギャラリーPAST&FORWARD
AZ そうですね、そこから自分の活動(イラストレーターとしての)をもっとしていきたいことや、活動し始めで個展を開くにしても、ギャラリーを借りる為の金銭面や場所の選定が難しいことなどを、カットしてもらいながら軽く相談していたんです。その時にAIさんから、サロンの半地下をギャラリースペースにしているから、探してるなら良かったらどう?とお話を頂いたんですよね。なので、そこからがカットモデルとかを越えた繋がりの始まりかなっていう感じ。
AI うんうん、そうだね確かに。

「A MOMENT」フライヤー

「A MOMENT」展示作品
ー そうしてMANHOODのギャラリー「PAST&FORWARD」でのAZUSAさんの1回目の個展「A MOMENT」が一昨年の11月に開催されたということですね。
AZ そうですね〜。それまでは何かあるたびに落書きを渡したりしていた程度で...。
AI ちゃんと大事に取ってあるよ。なんか他にもピンバッジとかもくれたよね。あれは紙粘土で作られたものだっけ...いや、樹脂(笑)?
ー 紙粘土か樹脂...想像が全く追いついていないです(笑)
AZ 樹脂粘土ですね...完全に自己満足。この話はちょっと一旦やめましょうか(笑)
ー 分かりました(笑)出会いから今まではそういった経緯なんですね。そして今一緒にお肉を食べていると。
AI (もぐもぐ)そうなんです。美味しいね〜。
AZ (もぐもぐ)本当に半分お姉ちゃんだと思ってます。
AI そう、妹です。
ー 本当に仲良しですね!次にお聞きしたいんですが、お二人がそれぞれのお仕事をする上で、インスピレーションとなるものは具体的に何か挙げられますか?
AI この世に存在する光であったり、お花であったり、街の音であったり、影あったり、、そういった自然に起こる現象は自分にとってキーになっていて、ただ、それがヘアに直結するかと言われるとそういうことでもないんだけど。言うなら、「お花のような柔らかいアレンジ」だったりっていうのは繋がっているのかもしれないですね。
ー あらゆるものごとを繊細に感じ取れるAIさんの感受性が物凄く豊かなんですね。
AZ それは本当にそう思う。
AI 何かを感じる...そう、例えば景色とか「狙ってなくて綺麗」ってすごくないですか。あとは影とか。たまたまそこにある色々な重なりからできているもの、そういったものに惹かれるのかもしれませんね。
ー 故意的ではない何か。
AI あ〜そうですね、もちろん故意的なものも好きなんですが...あとは儚さとかでしょうか。旅行や街を歩くのも好きです。
ー 結構色々な場所に出向いているイメージがあります。すごくアクティブですよね。それは意識的にですか?
AI 意識的でもあります。旅行であれば、その街の人からインスパイアされたりっていうのは大前提で、見たことない景色とか匂いとか全てが新鮮で自分の幅がすごく広がる。旅行は人生のミニチュア版みたいで、人生をギュっとしたら旅になる。それを感じに行くのがすごく好きなのかもしれません。
ー AZUSAさんはどうでしょう?
AZ なんかすごく壮大で緊張してきちゃった(笑)映画でも本でも、それこそ街を歩いていても、インスピレーションとなり得るものは膨大にあると思うんですよ。私は人物を描くことが多いのですが、例えば映画であれば、あるシーンを切り抜いている感覚がすごくありますね。音楽であれば聴こえてくる雰囲気というよりはワンフレーズ、ここっていうもの。それらの「一瞬のカタチ」がいっぱい頭にファイリングされていて、そこから抜き出す作業がすごく多い気がします。人物を描く時に、私は必ず関係性の設定をするようにしていて、人物たちがこういう人でこういう動作をしていて...っていうのを頭で考えて描いています。ワイングラスを持った人物が二人いたら、そのグラスの距離感で関係性がわかるような。そこを考えた上で、描き起こしていろんな場面でシーンとして切り抜いているなってかんじ。
ー 数あるインスピレーション源の中で「シーンを切り抜く」ことが多いものは何ですか?物語(本や映画や音楽)の中からなのか、本当に自分の日常の起きたことなのか?
AZ 最近は日常の中で、誰かと会ったり、街歩いたり、そういうところから感じることが多いです。例えば、向かい合う二人を私が見てるとして、そこでの一瞬がすっごい良かったと思うこともある。映画は作りものだけど、作った人の創造の中での一瞬に惹かれることもあるし、本は文字だけど私の中で浮かんできたシーンもそのひとつでもあるし...だからこれっていうよりは、いろんなものに触れようかなと。そうじゃないと、自分自身が動かないし止まっちゃう気がするんですよね。
ー お二人ともそれぞれのインスピレーション源となるものがありますが、どうして「それら」なんでしょうか。やっぱり直感として「それら」を表現したいからなんでしょうか?
AZ う〜ん...そうしたいから(笑)
AI そうだね、そうしたいから(笑)
AZ あとはやっぱり良いと思うものって変わらなくて、それより良いものが出てきたとしてもそれが悪いものになることはなくて、続いているというか。それが一番今良いと思ってるからその手法でやってるのかなとは思いますね。
AI ヘアメイクは、やっぱりそれだけで成り立つものではなくて、その人自身やお洋服もそうだし、その中に入っていくものなので、AZUSAちゃんとはまた少し違うのかなとも思いますね。ひとつひとつをはめていくっていう感覚はあって、ヘアメイクは特に。お洋服のルックのヘアメイクだと、そのお洋服を引き立たせるヘアメイクをする。でもその中でも自分の感覚っていうのもありますね。もし自分がそのお洋服を着たらしたいと思うヘアセットや質感。それは自分が今まで見てきたものであったり、そういった引き出しを開けて自分だったらこうしたいなっていうので合わせていくかな。

(左)THE Dallas2018ss(右)THE Dallas2017aw ともにhair&make AI

J&M DAVIDSON2017aw hair&make AI
ー イメージとしては、お洋服、モデル、その場の空気感など全てと掛け合わせていく為に、あらゆる引き出しを開けて、カチッカチッとはめていく感じですかね?
AI うん、そうですね。そこにヘアメイクが乗ったらより良くなるねっていうものじゃないかなという気がする。
ー AIさんのお仕事はメインがあってそれを作り上げる一つのパーツとして成り立っている場合もあるように思えますが、AZUSAさんのお仕事は自分の表現を前面に打ち出していくという違いがあるかもしれないですね。ゼロから作り上げるというのも、またすごく難しいですよね。
AZ でもそれが楽しくてやめられない(笑)
AI 素晴らしいね。
ー 本当に最高ですね。
AI さっき自然のもの(狙ってない綺麗さ)って言ったけど、そういったものを感じる感覚って、自分で言うのもなんだけど、自分がきっと繊細だからそういうものに気づけるなっていうのは思っていて、いろんなことに気づける、細かい質感まで見れるっていう自信はある。それはどこから来てるのかなって考える時、自然の景色とかを感じ取れる日常の自分がいるからなのかなって思ったり...ですかね〜。引き出しを貯めるにしても貯める器というか、自分の目とか、感じる力がないとね。
AZ それはすっごくわかる。自分っていう、ひとつ器の大きさっていうか、そういうスペースがないと。そこで全部受け止めてからだから...やっぱりアウトプットするにもそこが重要で、全部そこにかかっていると思いますね。
ー これから広げていきたい領域とか活動の幅、漠然とやりたいことなどありますか?
AI ヘアを作ることはずっと続けていきたくて、ヘアメイクはランウェイのショーでやりたいなっていう具体的な目標はある。あとはヘアもそうだし、女性を内側から綺麗にしたいという気持ちが芽生えてきていて...。
ー それは何か心境の変化があったりしたんですか?
AI やっぱりヨガを始めてから、自分の内側から落ちつくものがあったり、一歩引くじゃないですけど、そういう心の余裕だったりとか...やっぱり余裕がないと「楽しむものも楽しめない」というところに行きついたんですよね。内側の健康であったり、そういうところが全部あっての「ヘア」もはまって、一人の素敵な女性となるのかなって思ったし、そこでファッションも生きてくるのかなと。なんとなくそういう考えになってきた最近。 だからすごい漠然ですけど、何かしらのカタチでひとりの女性をトータルサポートすることをやりたいなと。お洋服も好きだから、そこでお洋服もセレクトできたら面白いかなとか思ったり、まぁそれは全部自分の好きなことなんですけど結局は。
ー でもそれがAIさんの色だからこそ良いんじゃないかなと思いますけどね?
AI 単に自分の色を出したいんだよね(笑)
AZ わかる(笑)私はAIさんにやってもらいたいし、是非見てみたいなと思いますね。でも、やってもらう側の人(ひとりの女性)にヤキモチ妬きそうです。えっ、私!私(にやってほしい)みたいな(笑)
一同 (笑)
AI 不特定多数っていうよりかは、パーソナルにやっていきたいなっていうのはあります。何言ってんだってかんじ(笑)?
AZ いやいや!っていうかなんというか(その姿が)見えてしまう。
ー AIさんのひとりひとりに丁寧に向き合う姿勢が、今のお話でもすごく感じられますよね。
AI 自分が髪を切りたいと思ったのも、「人を元気にしてあげたい」っていう思いが根本にあって。ファッションも好きだったし、そこに付随するヘアも好きだったからっていうのもあるけど髪を切ることで、「あれが上手くいったんですよ〜!」ということがあったり、人の気持ちって変わるから、そういう部分で働きかけたいっていうのはずっと変わらず、です。
ー その思いをブレずにずっとやってらっしゃるっていうことが素晴らしいですね。
AI すいませんね、喋るの下手で(笑)
ー いやいやいやいや!!素敵なお話を聞かせてもらいました。では、AZUSAさんどうぞ。
AZ 難しいな〜なんだろう〜(笑)仕事としての制作はずっとしていきたいですけど、常に気持ちの半分は作品作りに向いていて...。もの作りをする時、私は必ず頭の中で完成図が浮かぶんです。目の前に白い紙があったら手よりも先に頭の中で絵が見えて、それをなぞるような...そこで1%でも違和感があったり、自信が持てなかったら、やっぱりそれは本番に出していないんですよね。だからこそ自分の想像を超えた突拍子もない作品を一度作ってみたくて。自分でも衝撃を受けるくらい想像を超えるもの。今すぐじゃなくて良くて...ずっとずっと先で良いんですけど...
AI 岡本太郎みたいな(笑)?
AZ そう、岡本太郎みたいな(笑)爆発したいなって思う。まだ仕事を始めたばっかりで探ってますけど、ちょっとずつ自信や経験を積んだ後に何かを飛び越えて世の中に残るようなとんでもない作品を作りたい(笑顔)
ー 全然言わなくていいんですけど、なんとなく作りたいものあるんですか?
AZ 普段はイラストを主に描いているんですけど、何でもやってみたいし、それが映像でも立体でも他の方法でも、いろんなことを飛び越えてやってみたいっていうのが山ほどあって...だからちょこちょこ実験はしてるんですけどね。でも実験で終わるのではなくて、自分でも何だったんだろうと思えるような、そういった衝撃を自分の手によって生み出したいなっていうのありますね(笑)

THE LOCAL COFFEE STANDにて開催された「タイムラン展」ステンシルを用いた展示作品。
AI 自分でも気づいてない自分の中の自分を引き出す、みたいな(笑)
AZ そそそそ(笑)そういった衝動に埋もれてみたい。いつかヨボヨボになりながらでも良いので死ぬまでに、一回でもそういった燃え盛るところに飛び込んでみたいなと。すごい広い目標だけど。それをいつか起こすぞじゃないけど、その気持ちがずっとあるからこそ、日々いろんなことが更新されていくというか...ごめんなさい、まとめられなくて。
ー いやいやいや!思いが伝わってきます。でも楽しみだなぁ。是非私が死ぬまでに見させてくださいね!
後編へ続く
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