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DJ Kotsu × DJ Romy Matsによる対談 フロアでは語ることのないエトセトラ オールイズラヴ編

最終編となるこちら、オールイズラヴ編。これまで真剣モードで話していた彼らに、続いて個人的に好きなカルチャーやDJを聞くとまたも話に熱が入る...。そう、全ては、愛だ...。

ー リスペクトするカルチャーや感化されるものは何ですか? R  小学校から中学校までサッカーとテニスをやってて、プロになりたくてやっていた時期もあったから、アスリートとかはすごくリスペクトするかな。なんでもプロで一流でやってる人は尊敬してるし、それはタレントさんでも芸人さんでも一緒かな。もうなんでも突き詰めてやって成功している人は誰でも尊敬する。一番はスポーツとかアスリートが大きいかな。

K 結構ありきたりだと思うけど、好きなカルチャーアイコンは、Gosha RubchinskiyとLarry ClarkとJason Dillでこの3人何が良いかって、完全に僕らと同じ目線で生きることを忘れていなくて、つまり面白いと思うことに対して、歳っていう概念を取り払ってる人たち。人間対人間ていうところに対してフラットなところにリスペクトするし、俺はめちゃくちゃ好きかなっていうのはある。

Gosha Rubchinskiy&2017AW Collection by Vogue Runway

あとは、Julian klincewiczっていう同じ歳のスケボーめっちゃ上手いし、バンドやってるし、なんかシルクスクリーンのプリント使って個展開いたり、写真もビデオも撮れるし、ファッションショーもやるしっていう超多彩なヤツがいる。彼は俺と誕生日が1日違いで、一応向こうの方が1日遅いから後輩なんだけどね。 ー ごめん、それは面白い (笑) K  まぁそいつは後輩なんだけど~ (笑) R  そこで後輩とか言っちゃうのちょっとダサいし、全然人間対人間じゃない (笑) K  かなりダサいね (笑) なんかJulianはJulianていう個人があって、その個人を通してあらゆる手法でアウトプットしているかんじがすごく今っぽくて、このご時世、個人が浮かび上がっても良い世の中だと思ってるから、それをひとつのカルチャーに依存せず、あらゆる手法でアウトプットしているのはめちゃくちゃ自分の中でアイコンとなっている存在。ビジュアルのセンスとか、彼からすごくインスパイアされてたりとかしてる。

ACNE S/S17 on Vimeo (Video by Julian klincewicz)

ー 実際に会ったりしたことはないんですか? K  会ったこともある。日本で個展やっててその時に会いに行ってZINEを渡して、こういうことをやっているんだって言って...その時はまだDJを今みたいにちゃんとやっていなかった時だったけど。でもいろいろ話してっていうね。彼は一番好きな人物かな〜。 R  僕は人でいうなら、ずっと尊敬しているのは、イタリアのサッカー選手のPaolo Maldiniかな。その人は現役を41歳まで続けた人で、引退するまでクラブチームでもレギュラー選手だったし、10代の頃からイタリア代表にも選ばれてたんだよね。現役生活は25年かな。そこまで年齢を感じさせずに、自分をキープできるってことが凄いと思う。まさに「好きこそ…」なんだっけ?(笑) ー ものの上手なれ? R  ものの上手なれ、それそれ。そういうことを感じるし、僕がライターとかDJやってることにも重ねたいなって。そういう突き詰めて歳重ねてやっても、常に最前線に立つということに、時間を惜しまなかった、費やしたってことだからそこは本当に尊敬するし、ましてやアスリートって現役でやれる時間って人生の中で短いわけじゃん。それを10代から40代までやったってことは本当にすごいと思う。クラブのシーンに入ってから感じるのは、今ヨーロッパでバリバリやってるDJ NOBUさんとか、大ベテランの瀧見憲司さんとか、日本では常に最前線に立っているし、感覚が若いっていうか、僕なんかと話してても、全然普通に同じ内容の音楽の話をして下さるしさ。なんなら僕より若い感覚を持っていそうな人たちだし、常に好きでやっているっていうのはひしひしと伝わってくる。好きなことに対しての努力を惜しんでいないっていうのを感じるから、僕も見習いたいなと思う。

K  僕は、新庄が、好きです! R  辞めちゃったけどね。辞めて整形しちゃったけどね (笑) K  あの人になりたいとは思わないけど…。 R  あの人はナチュラルボーンの天才だよね。 ー いつかの東京フレンドパークでもパジェロ当ててた気がする (笑) K  ふぅー!!そういう人いるんだよなぁ~、かっけー。

ー クラブシーンに馴染みのない人たちに向けて、何か伝えたいことはありますか?

K  来たら良いことあるよ! (笑) R  うん。でも本当に良いことあると思うなー。やっぱりダンスフロアって人種の坩堝(るつぼ)だから、いろんな性別の人もいるし、人種も違う人がいるし、そういう人たちが存在できる場所だから、職業とかも関係なく。職業なんて後々知ることの方が多いじゃん。それでも、全然同じ空間で話せるわけで。違うことの良さも感じられるしね。そんな場所って他にないよね。 ー ハウスもゲイカルチャーから派生していたり、シリアスな人種問題や社会への反抗として音楽は生まれてきた背景があったり、その中で怒りや叫びを音に昇華してみんなで共有してきた部分があると思いますが、今こそそういう場が尚更必要なんじゃないかっていう気もします。

R  そういう意味では、価値観を押し付けるつもりはないけど、人間として発見できることは多いと思う。普通に生きてたら会えない人に会えることが多いと思う。

Romyくんを含め4人のクルーで活動する「REMEDY」渋谷の神南にあるDJ BAR KOARAにて偶数月第4日曜に開催されるデイパーティ。渋谷の日曜のデイという好条件、友だちを連れて遊びに行くのが (大)吉◎

ー 出会いの宝庫ですね。 R  そうだね。ナンパとかもあるけど、そうではない出会いがたくさんある。

ー 話変わりまして、今までの自分の中でのベストアクトを教えてもらえますか? K  ここでNariが言うのは「俺以外⁉俺以外⁉」っていうやつ (笑) R  それ恥ずかしいやつだから (笑) K  「俺じゃダメ⁉」って毎回言う (笑) R  ベストアクトか〜… 僕はFlying Lotusっていうアーティストが好きなの。LAのアーティストなんだけど、日本に何回も来てて、その人のライブはもう3回くらいはきっと観に行っていて、僕はその人のライブを観るといっつも泣いちゃう。なんかすごい、その人の音楽は血が流れてできているような… それが苦しくなる時もあるんだけど、スピリチュアルな意味で、僕の中でも一番血になる音楽というか身体に変換されていく音楽っていうのはある。アルバムでもライブで聴いていても。まぁ常になんだろう…タイムリーに亡くなってしまった人の曲かけてきたりとか、そういうのは個人を偲ぶみたいな気持ちを持っているアーティストで、非常に日本的な感覚を持っているアーティストだなとも思う。結構なんか、くるものはある。

Flying Lotus - Coronus, The Terminator on Vimeo

ー Romyくんは、自分のことを冷めてるって言ってたけど、感受性豊かで繊細だよね。 K  (笑) R  あのね~結構ね、センチメンタルだしエモーショナルなところはあるよ (笑) でも全く興味ないものは本当に興味ないし、冷めてる部分もあるね。 ー Kotsuくんはどうですか? K  わかんない…。 R  難しいよね~、ベストアクトって。 K  泣いた日で言うと…。 R  泣いた日 (笑) K  やっぱり、Florian Kupferが来日した時とか。丁度1年前で、僕が外国人のDJ観るようになったのってここ1.2年の話だからその間の期間で言うとFlorianで。もともとFlorianのことは知っていたし、今の僕のスタイルになった音楽たちを聴いて、これはやばい!心に訴えかけるもがある!って思った瞬間から好きで、彼の来日を待ちわびていて... だからといってそんなにDJを期待していたわけでもなく、っていうのも曲は好きだったけど、DJはミックスとかも何個か聴いたけど、普通に良いなって思うくらいであんまり期待していなかった。でも実際に観てみたら、期待値をめっちゃくちゃ超えてきたし、ライブ感があったというか... DJなんだけど、DJでここまで出来るんだみたいな。美的なものというよりかは、個人のバイブスが暴れているようなかんじで、とんでもないもの観たなって思った。その時、丁度DJとして活動しようって先がまだ見えていない時で、そんなに強い気持ちがなかったんだけど、その日でこんな素晴らしいの観られるならやりたいと思ったし、その時、僕も一緒に出演していて、ビデオとかフライヤーとか全部プロモーションさせてもらっていて、やっぱり自分がこうして素晴らしいアーティストと携われるのって良いなって。英語でFlorianと初めてちゃんと話して、なんかいろんなことが重なってすごく良かったんだよね。単純にあの日のDJ良かったよね?

Kotsuくんが熱く語っているFlorian Kupferがなんと今月来日!しかもKotsuくんをはじめ、以前偏愛カウンター席に来てくれた中村 響ちゃん (ZOOEY LOOMER 1979) など東京の若手DJが出演決定!18日の夜は空けておくべし!要チェック!

R  すごい良かった! K  1年前っていうと、まだいろんなアーティストを観ていない時だったから、比較することが出来なかったんだよね、そんなこと僕が言うのはあれなんだけど。だからフラットに観れたし、初期衝動があそこにこもっているんだよね。 R  もう一個、泣いた話だと2015年のGONNOさんのアルバムリリースパーティーかな。今はもう無くなってしまったAIRってクラブでリリースパーティやって、アルバムの内容に沿ったライブセットをやったのね。それは泣いた。その時インタビューも仕事でやらせてもらって、日本人のDJにインタビューしたのが、その時が初めてで。それもあって本番までの事前段階から俺の中にストーリーがあったから、個人的な感情も含めてにはなるけど、高まったしそのライブもすごい良かったんだよね。 ー 説明しづらいかもしれないけど、その「良かった」というのは… R  いや~なんかGONNOさんの曲もこう、エモいかんじで、それが目の前で生でパフォーマンスしていて、言葉にしづらいんだけど、琴線に響いたものがあったかなぁ。 ー グッと込み上げてくるものがあったんですね。

Dekmantel Festival 2017

R  あとは去年の8月に『Dekmantel』っていうアムステルダムのフェスに行ったんだけど、その時のDJ NOBUさん。あれは一生忘れないと思う。たぶん数千人いたと思うんだけど、その前でNOBUさんが2時間DJやったんだよ。前から奥までその空間に詰まってる人たちがずっと踊ってて… でもDJやってるのは一人じゃん、その状況がなんか闘っているみたいに見えて。すごい映画とかでよくある、次々出てくる敵をなぎ倒していくみたいな、そんな感じ (笑)この言い方はちょっとNOBUさんは嫌な顔するかもしれないけど… でもその感覚に近かった。一人対数千人だから。それを2時間... それもうアスリートだなって思った。NOBUさん自体もだんだんとハイになってるように見えて、テンション自体にオーディエンスと一体感が出てきて… そもそもNOBUさんはお客さんの様子を見るDJなのね。僕もブースの中で観させてもらっていたから、その2時間、NOBUさんとお客さんのやり取りがどのように交わされているのか分かった、っていう。未だにフラッシュバックするし、本当に一生忘れられないと思う。あとさ、それが終わった後に、『Dekmantel』オフィシャルのインタビュークルーがいて、DJが終わった直後にクルーがワーっと入ってきて「どうでしたか⁉」って取材されてるのが、もう完全にヒーローインタビューっぽくて。盛り上げて、成功させて、インタビュー。アスリートみたいだった... あの数時間は忘れられないです。

DJ NOBU / Dekmantel Festival 2017

K  だから、クラブをエンターテイメントに括れるのかわからないけど、それくらいの魅力はあるし、本当に払ったお金以上に感動があったりする。それが面白いのは、遊びにいく個人がどう思うかで、その日の感覚が変わるからそこは超面白い。超パーソナルであるし、周りの雰囲気にも変容されるものでもある。一筋縄ではいかないというか。バンドのライブであれば、前売り券が売れて、ある程度予想できて、自分の好きなバンドを観に行くから知っている曲が流れてっていう。それはそれで全然良いのだけど、自分も他人も操作できないっていうフラットな構造が素敵だなと思う。超生きてる。 R  完全に生ものだね~。水ものというか。 K  そこが素晴らしいものだよね。 ー それが儚いというか美しいんですね。 R  そう。その日しかない。その日にしか有りえない。 ー 私はDJしないけど、遊びにいく側としてその感覚はすごく共感できます。 K  それが毎週レベルで行われているわけですよ。 ー 贅沢なことですね。 R  贅沢だよ~ほんとに~。 K  そうだよ〜。 R  あとは、音楽聴くことは大事なんだけど... そうしないと音楽家に還元されていかないっていうのはあるから。でもクラブはそういうのとは別のベクトルを持っていて、単純に音楽だけじゃないっていうか、その日のその夜をいかに楽しく美しくなるかっていうところだからさ。その為に努力しているのはDJだけじゃなくて、演出やライティング、音響、バーの人、みんなが努力して最高の空間を作ろうとしていて、結集したものがクラブだから。フタ開けてみないとどうなるかわからないところに向けてみんなで努力しているわけだしね。

ー 明日は何するの? R  明日の予定 (笑) 明日の予定は二人ともDJだね。 K  起きて~歯磨いて、水を飲む。 R  で、準備する。 ー 何時からDJ? K  21時半! R  僕は23時から1時間半やるかな。多分明日は、起きて、朝ごはん食べて…。 K  えぇぇ!エラ! ー 朝ごはん食べる時間に起きるのエラい (笑) R  遅めの朝ごはん食べて… (笑) 何件か仕事して、新しいプレスリリースを完成させて、準備して、向かうというかんじかな! ー Kotsuくんは何時に起きるの? R  あ、じゃあ何時に起きるか、せーので言おうよ (笑) K  $♪¥●&%#!良いよ! ー せーの、 K  12時! R  9時! K  早っ! R  多分10時くらいだな~。 K  僕、頑張って12時...。 ここから二人の睡眠事情についてお話頂きましたが、割愛させて頂きます。 東京を拠点に止まることなく音を鳴らし続ける二人の対談は、ひとつひとつの言葉にクラブシーンに対する愛と熱量に溢れていました。自身を俯瞰するような冷静な一面を覗かせつつも、自分の衝動や感性に正直に、自分のやるべきことに真摯に取り組む彼らがいるこのシーンは、今以上に多くの人を惹きつけていくのだろうと感じられずにはいられませんでした。

(奥)Romy Mats (aka Hiromi Matsubara) / 1994年生まれ / 東京都出身 / 武蔵野美術大学卒業 / 東京を拠点にライター、編集、DJ、オーガナイザー、プロモーターの活動をフリーで行う。現在はHigherFrequencyの形式的編集長を務め、「解体新書」と「procope」を主催し、東京の新世代レーベル〈N.O.S.〉のプロモーションを担当。好物はラーメンと餃子。Instagram @hiromi_matsubara

(手前)Kotsu / 1995年生まれ / 千葉県出身 / 青山学院大学在学 / 東京をベースとし、DJ活動を行う。CYKという名のハウス・ミュージック・コレクティブに所属。海外からDJを招聘してパーティーを行っている。その他にもグラフィックやビデオのエディット、ZINE製作も行っている。好物は家のベット。Instagram @kotsu0830

kotsuくん、Romyくん、ありがとうございました!!

では、おやすみなさーい!

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