第1回 arch紹介制倶楽部 イラストレーター IIDA AZUSAさん×LAURUN/MANHOODクリエイティブディレクター AIさん 後編

AIさんによるヘアアドバイスハーフタイム。では、いざ後編です!
ー またちょっと話変わるんですけど、仕事をする上で使用する SNS について、お二人はどういった目的で使用していますか?あとは、何かSNSについて感じることはありますか?
AZ きっと、美容師さんは、自分のイメージをお客さんが先に見ることで分かり易いきっかけ作りにはなるのかなと思います。知り合いの人もAIさんのInstagramの雰囲気を見て美容室に行ったという人もいて、なるほどなと思ったことはあります。私もずっとInstagramを続けていきたいとは思っていないです。ホームページも持ちたいんですけど、その手軽さや繋がりで、きっかけ作りとしてInstagramを使っていて、まずは知ってもらうためにツールとして今は利用する手はないと思ってます。私の中では始まりのひとつですね。作品は生ものなので、画像ではなく実際に生で見てもらいたいという気持ちもあります。あとは、簡単すぎて少し怖い部分もありますよね。誰とも繋がれて、連絡できて、画面上で山ほどの情報を見て完結する。そこだけで終わる人がいても良いけれど、それ以上のことを私も求めてはいけないなっていうかんじですかね。
ー 本当に単純に不特定多数の人に「見てもらえる」という良い面を利用しての宣伝ということなんですね。
AZ 信じられないぐらいみんな見てるじゃないですか。国を超えて。それってやっぱり手段としてはすごいことでやっぱり使わない手はないなっていうのは正直に思う。
AI きっかけにすぎない、よね。
ー ほんの数年前まではなかったツールですもんね。それこそAIさんがアシスタントされていた時はなかったツールだと思うので、今とはかなり仕事の仕方にもが違いがありますよね?
AI 仕事の在り方として、ここ5年ぐらいですごい変わってきていると思う。Instagramって当初はただ写真の編集をするアプリだったのにね〜。(スタイリスト)デビューして自分を知ってもらうにしても、自分でやっぱり街で声をかけて来てくれた人の紹介でまた来てもらったりとか、あとは自分の作品を写真用紙に印刷して見てもらって、それにメッセージを書いて、声かけさせてもらった人にお渡しするっていうことをしていましたね。それを好んでくれて来てくれる人もいました。それも一つのきっかけだ思うんですけど。
ー でも、そのひと手間はきっとネット上ではできないことですよね。
AI 何年か前に、スタイルブックを作らせてもらって、自分が作った作品を紙にプリントして質感とかも選んでボックスに入って60個限定で作らせてもらって、見たいと言ってくださる方にお配りしてっていうことをしました。自分自身としては可愛いと思うイメージがあったら、やっぱりそういった写真集などを購入して手元に置きたい...結構アナログな人なんですよ。InstagramのようなSNSっていうツールが出てきたことで、自分の作品や可愛いイメージとかを、携帯の画面の中で共有できてしまう時代になってしまったけど、本当に自分のイメージなどを見てもらいたいっていう人には、手元で見てもらいたいなっていうのもあって、撮り下ろしでスタイルブックを作らせてもらいました。それはすごく自分の中で大きい出来事だったなと思いますね。

Private shooting hair&make AI
ー きっとそれは宣伝とかではなくて作品を実体として残したかったからですよね。
AI 宣伝ではないですね、残したかった...そうですね〜。
ーでは、お2人がお互いに聞きたいことを質問形式でお願いします!まずAIさんからAZUSAさんへどうぞ!
AI AZUSAちゃんにとって創造するとは何ですか?
AZ 創造するとは何か...難しいなぁ〜なんだろう。私にとって創造するとは「進化し続けること」ですかね。創造することで進化して、進化することでまた次の創造に進んでいく。作品を作り続けていく中で常にある思いです。意識してというよりかは空気みたいに常にあるものですね。ただ、作ることだけが目的なのではなく、作品という存在を通して色々な人たちと分かり合う、探り合う、一つの手段だと思ってます。
AI 気づいたら創造してたっていうかんじ?
AZ そこを意識し始めちゃうと怖いかもしれないです。自分が創造して作ったこれ!っていうよりか、ナチュラルに自然現象みたいなかんじで。
AI そのスタンスは昔から変わらないの?
AZ 変わらない〜、ですね。
AI まぁ子供の頃って、ある意味いろんな知識が入ってないしね。

AZUSAさん
AZ 今でも入ってないんだと思います。子供の頃って「遊び」じゃないですか。今もそれと変わってなくて遊びの延長っていうか、そこに知識は入ってきてないと思うんですよ。創造してカタチにするってことが、子供の頃の落書きから仕事になっていて、格好良く創造してっていう風に言ってるけど、実際ずっと絵描いていることも小さい時から変わらない。発信方法とか最終的にカタチになってるものが変わってるだけです。大丈夫ですか....。
AI 大丈夫です!なるほどってかんじ。納得でございます(笑)
ー では今度はAZUSAさんからAIさんへの質問どうぞ!
AZ そうですね〜、同性の知り合いの中でもAIさんって私の中で絶対の場所にいて、美意識でも、ちょっとした会話でも、表現でも行動でも、自分の中の絶対っていうものに近い場所に存在するんです。だからその憧れでもあるし、近さでもあるしっていう存在になるんですけど、そんなAIさんでも「怖いもの」とかってありますか?AIさんにとっての怖いものって正直想像がつかないんです。もちろんお化けとかそういうことじゃなく(笑)
AI コワ〜い、お化けはコワ〜い(笑)
AZ はははははは(笑)私は「不可能」っていう言葉がすごく怖いんですけど、小さい頃から今までを含めて、何かありますか?
AI 怖いもの...自力でっていうよりも、他力が働きすぎしまって、自分がそのレールに乗ってしまうことは一番怖いかなと思う。
AZ わーーーー。なるほど。
AI 自分で何かできなくなるって事は、一番怖いかも。
AZ すっっごく分かります。
AI 分かりやすく言うと、昔の家庭のあり方じゃないけど、お前が家事をやれ!とか言われたら多分無理。だし、生きていけない。自分の力に何かできなくなってしまうことは...
AZ わーーーー!!美味しそーーーー!!
(お肉登場からの取り分け争奪戦)
AZ いや〜でもすっごくわかります、それ。怖いですよね。
AI 怖いよね。
AZ 焦りというよりかは恐怖が勝ちます。
AI うん、焦りとかじゃない。
AZ 生きてる意味ないかも、みたいな(笑)自分が無になっちゃうというか。
ー かなりその「恐怖」についてはお二人とも共通しているみたいですね。
AZ AIさんが今言葉にしてくれたことですっきりしました。
AI そうですね〜、それが一番の恐怖かな。もちろんその為には、いつまでも健康でいる必要があるし。
一同 (笑)
AI あと何だろうな...自分で自分の道を選びたくない、みたいな人と関わるのがちょっと怖い。自分の扉って開けようと思えばいくらでも開けられると思うんだけど、それを一切拒否してしまっている人。そういう人はちょっと怖いなっていう...どう怖いかと言われるとちょっと分からないんだけど...。
AZ あれですよね、自分と違うなっていう人は友達でもいるけど、その違いではなくて、自分の中で大事にしているものとの違いに気づくと、確かに恐怖に変わるっていう。私も同じで...というか違いが明確になってるからこそ一歩引く訳であって...そうじゃない違いだったら、それは興味に変わることだってあるじゃないですか。
AI そうだね〜。
AZ そっちに走れない違いの怖さっていうのは、確かに感じることはありますよね。
AI すごい稀なんだけどね。やっぱり自分と似た人が寄ってくるから本当に稀なんだけど、ないこともない。
ー そういう瞬間に直面したら、どうしていますか?
AI それを否定することも違うから、そこは受け入れて、あくまですごく客観的に見てる。否定もしないし。でも飲み込みもしないかな。
AZ そのまま置いておくみたいな。

AIさん
AI そうだね〜。でもやっぱり1番は先に話した、自分で何かできなくなること。環境だったり人の力だったり、押さえ込まれちゃうってことが一番怖いかな。
AZ 質問しておいてすごく共感することでした。言葉にしてもらったことによって、自分の中に入ってきてます!
AI AZUSAちゃんは、最初の職場で、今自分のしたいことができないっていう恐怖を感じて今の道を選んでるよね。
AZ まさにそうですね。焦りよりも恐怖が先だったから、本当にそれこそ辞めようっていう行動も早かった。
ー 大学を卒業して社会人になる時はイラストをやるっていう選択肢はなかったんですか?
AZ もう一度勉強しようっていう気持ちはあったんだけど、それこそまだ学生で親にも相談した時に、受かる受からない関係なしに、就職活動を経験するのも面白いんじゃない?とも言われて...「履歴書を書く」その一つでも良いんです。しないよりやる!やった後に決める!っていう経験としてやっていました。その結果、内定もらえた時にそこで働く自分が見えてしまったらやっぱり行きたいって思って、そこで一歩踏み入れたってのもありますね。今更ですけど、全部意味があったし入って良かったなと思える。当時は思えなかったから落ち込んだりしたけど、今なら無駄はなかったかな、と。
ー お二人ともお話ありがとうございます。他に聞きたいことないですか?大丈夫ですか?
AI&AZ 大丈夫です!
AI (グラタンもぐもぐ)美味しい〜!
AZ 一旦食べよー!
ー 本当に今日はありがとうございます〜。
AZ 赤木ちゃんが作ったみたいだね(笑)
ー 完全にお店間借りしております(笑)
ー 最近これ気になる!とかお二人の中でHOTな話題はありますか?
AI 原田マハさんという作家さんがHOTです。 フィクションを元にして書く小説。それがミステリーだったりとか色々なんですけど...彼女自身もニューヨークの MoMA とかで働いてたりとか森美術館立ち上げに携わった美術関係の方で、ルソーとか、実際にあったフィクションの話を交えて話を作っているんですよね。一冊の中での情報量がとても多い。原田マハさんはすごくHOTです。「楽園のカンヴァス」っていう小説の中で、ルソーの「夢」っていう作品があるんですけど、そのルソーのフィクションの話を基に書かれたミステリー小説なんですね。その「夢」を観に、今年はニューヨークに行こうかなって思っちゃったぐらい引き込まれた〜。
ー おお〜!すごい。
AZ 素晴らしい。
ー これはHOTですね(笑)
AI お勉強しながら楽しめちゃう、みたいな。読むことですごく身になっている。
AZ いや〜それでニューヨーク行くってすごいですね。
ー 突き動かされてますね。
AI 去年旅行で行ったパリで、モネの「睡蓮の池」を観たんだけど、そのモネにまつわる原田さんの小説も読んでいて、どういう背景があってこうなったとか、そういうのが面白いんですよね。結構漁るように読んでますね...原田マハさんでした。
一同 (笑)
ー AZUSAさんはHOTなものありますか?
AZ オリンピックを観ていて...私が今描いているイラストは、時間をかけて失敗したら塗り直して、何度も何度も失敗を重ねて、その中の一個を決めて、それを本番に出すじゃないですか。でもスポーツ選手は同じ「表現」でも、一発勝負の極限の緊張感の中で、自分の中で信じられないぐらいのパワーを出す人と、これだけやってきたのに力を出せず失敗を味わう人がいるじゃないですか。その瞬間にかけるアスリート的な瞬発力みたいなものに熱を感じる。私が燃えるように観ています。
ー AZUSAさん自身がHOT(笑)
AZ そう、私がHOT(笑)
ー AIさん、寒いですか?大丈夫ですか?
AI うん、大丈夫。ちょっと、寒い。(窓際席)
AZ すみません、私がHOTな話題をしているので(笑)
AI あったかくして〜〜。(手を伸ばす)
AZ でも私手は冷たい(笑)あとはミュージシャンとかも一緒で、一瞬に懸ける人たちの姿とかは、自分のやってる表現方法とは別世界の表現方法なので、見入ってますね。あとは、坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)。音楽から初めて恐怖を感じたというか...楽しい音楽を作ろうとして曲を作ったけれど、楽しさを考える故にその逆を感じ取ったらしいんですよ、坂本慎太郎さんは。それでアルバムできたら怖すぎるよって言われるようなアルバムができたらしいんです。確かに聞くとすごいゆるーく歌ってる。結構な言葉の恐怖でもそういうリズムだから聞いてられるんですけど、音楽でそういう感情になるのって初めてで。それこそAlさんも本を読んだり、言葉に対しても興味を持っている人かなと思ったんで、是非 。
ゆらゆら帝国 / 空洞です
AI へぇ〜!ゆらゆら帝国。聞いてみよ。
AZ 急に宣伝(笑)
タスクさん(お店の方、以下T) 寒かったらヒーターあるんでどうぞ。
一同 ありがとうございます!
T これ対談なんですか?あ!これで録音してるんですね!
AZ タスクさんも登場してる感じですよ(笑)
T あ!すいません、失礼しました(笑)
一同 いえいえいえ!美味しいお料理ありがとうございます!
AZ ということで以上、坂本慎太郎さんでした(笑)ありがとうございます。
AI なんか奇妙な音楽...たまにお店(サロン)で流れるけど...不協和音までいかないけど。
ー 確かに!不協和音みたいな音楽流れますね(笑)
AI わぁぁあ...みたいな(笑)
ー こう、スゥーっと、(頭左斜め上に傾ける仕草)なるような...。
AZ 魂乗っ取られるようなね、間違いない(笑)
ー 心地良さと恐怖って紙一重ですよね。
AZ 紙一重の音楽作るって凄いですよね、本当に。
ー 明日は何するんですか?
AI 明日!明日は〜みんなを可愛くさせて頂きます。仕事です(笑)
AZ 私は姉が来月お誕生日なので、春物含めてお誕生日プレゼントを下見に、お母さんも連れて女三人でちょっとお出かけを久々にしようという日です。
AI 楽しそ〜仲良し〜。良いね、日曜日だしね。家族で過ごしたら良いよ。
ー はい!ということで、arch紹介制倶楽部、最初のお客様はAIさんとAZUSAさんでした!ありがとうございました!
AI&AZ ありがとうございましたー!
ー またお待ちしております!

- Profile -
(左)AI / LAURUN・MANHOODクリエイティブディレクター / 千葉県出身 / 日本美容専門学校卒業 / ヘアサロンLAURUN・MANHOODにてサロンワークやアパレルブランドのLOOKBOOKや雑誌などでのヘアメイクを担当。趣味は旅先でのインプットをすること。Instagram @__a__i__m__
(右)IIDA AZUSA / イラストレーター / 1991年生まれ / 東京都出身 / 玉川大学芸術学部ビジュアルアーツ学科卒業 / アパレル企業にて制作プロモーションに携わった後、2016年より自身の制作活動をスタート。2016年 PAST&FORWARDギャラリーにて「A MOMENT展」、2018年 THE LOCAL COFFEE STANDにて「タイムラン展」などいくつかの展示を行う。3/31〜 offshore coffeeにて展示開催予定。好物はうずらと明太子。Instagram @azusa_iida_illustration
今夜のスナックarchは渋谷の路地裏に佇む一軒家のブラッスリーカフェ「Cent trente-neuf」さんにて。ご親切にして頂き、ありがとうございました。
では、おやすみなさーい。